2017年のアメリカのヒットチャートはまさにヒップホップ全盛!といった感じだったようですね~。
2017年は、ニールセンが1991年に販売情報の追跡を開始してから初めてR&Bとヒップホップが米音楽業界のトップ・ジャンルになった年だった。消費量全体の25.1%を占め、オンデマンド・オーディオ・ストリーミングでは全体の30.3%を占めた。第2位のロックは18.1%だった。20年ぶりに米音楽業界が二桁%の増収となったのもストリーミングのおかげで、ニールセンによると、全米で最もストリーミングされた楽曲TOP10の内7曲がラップで、82億回に及ぶオンデマンド・ストリーミング全体の65%を同ジャンルが占めていた。
※太字は星川によるもの
10年前、ぼくが学生だった頃はコールドプレイやアークティックモンキーズやマルーン5がデビュー間もないころで、その前はリバティーンズやストロークスが時代を作っていましたね。
レッチリやレディオヘッド、オアシスなどもガンガンニュースを発信していた時期だったと記憶しています。
ところが今はロックバンドがシーンの中心で話題をつくることが少なくって、ご覧のようにヒップホップが全盛期。
ぼくはバンドマンなので寂しい限りです…。
ヒップホップのミックステープ文化とストリーミングのプレイリスト文化が相性が良かったというのはあると思いますが、ぼくは他にも理由があると思うんです。
ロックバンドはコンテンツが少ない
今はネットを通じて、いつでも・安く・大量のコンテンツを摂取できます。
コンテンツが飽和した市場では、1つ良いコンテンツを作ってもすぐに埋もれてしまいます。
対策としてできることは常にコンテンツを出し続けることでしょう。
バンドは相対的にコンテンツが少ないですね…。
例えば、ラッパーなんかだと話題の「フリースタイルラップ」なんてあるじゃないですか?
あれは即興でその場で作られるコンテンツです。
ローコスト(っていうとちょっと失礼かもだけど)でコンテンツを生産できるうえにエンタメとして成り立っているすごいフォーマットですよね。
もっと典型的なのがアイドル!
彼・彼女はまずもって見た目がコンテンツですし、SHOWROOMでのライブ配信や、インスタの写真など、いろんな形でコンテンツを量産することができます。
それに比べてぼくらバンドマンは何ができるでしょうか?
というか、みんなは何をしてますか?
逆に教えてほしいくらいですw
バンドって集団ですから、動かすのは難しいんです。
その分ライトなコンテンツを作りにくい。
例えばスタジオライブをライブ配信しようと思っても、対応したスタジオって少ないし、音作りも難しいからエンジニアが必要になるし、お金もかかる!
これがアイドルなら自宅からカラオケ歌ってたりしますからねwww
そのスピード感でやられたらそりゃ勝てんわ…。
元AKB48のゆうこすこと菅本裕子さんの活動なんかみてるとすごいです。(もはやアイドルではないのですが)
- LINEブログ
- LINE LIVE
- ツイッター
- インスタ
- YouTube
- Voicy
などで日々コンテンツを作り続けています。
ゆうこすさんとバンドは同じ市場で争うライバルではないのですが、「そのくらいやらないと勝てない」という「努力の目安」にはなるかな?と思います。
「アーティストは音楽だけやっていれば良い時代は終わった」なんて言われて久しいですが、その理由はこのように超自由競争の市場の中で熾烈な争いにさらされているからですね。
大変すぎる…。
ロックバンドはお金がかかる
あとはやっぱりバンドってお金がかかると思うんですよ。
みなさん「浜田ばみゅばみゅ」って覚えてますか?
ご存知ダウンタウンの浜田さんがきゃりーぱみゅぱみゅさんを真似したキャラクターで、なんと中田ヤスタカさんのプロデュースで曲を出すことになったあのプロジェクト。
で、この曲のレコーディング風景が当時の「ガキ使」で放送されたのですが、ぼくはそれを見て軽いカルチャーショックを受けました…。
浜田さんが歌ったのはたった15分!
中田さんが「あとは直しておきますよ~」で終了…。
なんて簡単な!
バンドマンのみなさんなら直感的にわかってもらえると思いますけど、レコーディングってもっと大変なものですよね!?w
バンドのレコーディングなら、メンバー4人にエンジニア1人、さらにドラムテックやギターテックといった音作りをサポートしてくれる人もいたり。
マスタリングエンジニアも含めると、1回のレコーディングで関わる人数は5人以上にはなりますよね。
ところが中田ヤスタカさんの方法論なら、中田さんがオケを全部作って、はまちゃんが歌うだけ。
たった2人で完パケできてしまうという…。
DAWってすげぇぇ!
具体的な数字はわかりませんが、少ない予算でたくさん曲をつくれるのは中田ヤスタカさんであろうというのは想像に難しくありません。
音楽活動全体の予算で見た時、中田さんがレコーディングを安くあげられるからこそ、きゃりーぱみゅぱみゅさんやPerfumeさんは、ビジュアルやミュージックビデオに多大な予算をブチこんでクオリティを上げられるのではないでしょうか?
先ほど、アメリカではヒップホップが全盛という話題を出しましたが、こと日本ではやっぱりアイドルがすごい。
DTM作曲家×アイドルというスタイルの音楽ビジネスはやっぱりロックバンドのそれより効率的だと思うんですよね…。
ロックバンドがこの時代に生き残るために必要なこと
そんなわけでロックバンドは他の音楽アーティストと比べた時に「集団なのでコンテンツを作るのが非効率。非効率ゆえにお金がかかるのでさらに数が作れない」という状態なんですね。
むむむ…だってしょうがないじゃないか!バンドなんだものw
では、ロックバンドはこの先死にゆく運命なんでしょうか?
それは神のみぞ知るところですが、ぼくはバンドマンですし、ロックバンド好きなので生き残りたいんですよ。
ロックバンドが生き残るために提案できることが2つあります。
それは、
- 長く続けられる環境を整えること
- 小さく稼ぐこと
です。
コンテンツが量産できる状態じゃなくても、1年2年、10年と続けていば結果的にたくさんのコンテンツをストックすることができます。
例えば、ファーストアルバムがヒットした時と、サードアルバムがヒットした時はどちらのパターンの売り上げが大きいでしょうか?
それはサードアルバムがヒットした時ですよね。
新規のファンがファースト、セカンドと合わせて買ってくれる(聞いてくれる)からです。
音楽はデジタル化が進み、ダウンロードからストリーミングへと移り変わってきています。
デジタルの良いところは在庫リスクがないこと。
低コストでたくさんのコンテンツをストックできるので、やはり長く続けることで売り上げが伸びていくと考えられます。
ロックバンドが時代遅れになるつつあるこの現状に対して今、バンドマンがやるべきことは長く残っていく良質な作品をつくることです。
「長く続けるメリット」はそれでこそ最大化されるからです。
では、長く続けるためにどうすれば良いか?というとまずは「しっかりと利益を出すこと」ですよね。
赤字を免れながら小額をコツコツ稼いでいける…。
そんな音楽活動のビジネスモデルが求められています。
ファンに音楽を販売するだけでなく、オーディオストックや広告など多様な方法でマネタイズを模索しましょう。
さらにバンドマンの生活そのものも見直すべきです。
こらからの社会はどんどん生活コストが安くなっていきます。
アーリーリタイヤって実は超簡単では。
10年間、貯金と投資信託をコツコツやりながら働いて、退職したら爆発的に増える空き家をタダで貰えば死なない生き方は余裕でできそうな気がする…。
— 星川崇 (@Soh_RundabanSP) 2018年2月20日
利用できるものは何でも利用して、音楽が続けられる環境を確保です!
最後は極めて現実的な話になりましたw
時代はどんどんスピード感を増しています。
圧倒的な効率が求められる中で、非効率なロックバンドは時代遅れです。
しかし効率化が行き切った先には「愛すべき非効率」こそが人の個性を構成する要因になるように思うのです。
そして愛すべき非効率を守るために、他のあらゆるどうでも良いモノを効率化する。
それがこれからのアーティスト、クリエイターの姿勢ではないかと想像しています。
以上「なぜロックバンドは時代遅れなのか?」という話題でした。
何かしらの参考になったらうれしいです!