思い出すなぁ…。

あのバンド企画を乱発していた時期。

 

ぼくは以前のバンド活動で、バンドが主催する企画ライブをたくさんやっていました。

のべ20回はやったんじゃないかな?

 

自慢じゃないけどけっこう多い方だと思いますよ。

バンド企画って大変なんです!

 

ブッキング交渉も手間がかかるし、もし穴があいたらリスク追うのは主催バンドですからね。

集客が少なければ、責められるのもこれまた主催バンド。

 

そんな大変なバンド企画を2017年だけで10回も乱発しているバンドマンがいるって言うじゃあ~りませんか?

その人こそロックバンドesolaのマタヒラさんと、以前「もっとバンドマンの力になりたいからライブハウスを辞めた!?印藤勢の「バンド無料相談」がスゴイ」で紹介した印藤さん。

 

2人で「SAD COMMUNICATION」というイベントを運営しています。

無理すんなよ…。

よし!ちょっと説教しに会いに行きましょう!

 

どうも、こんにちは!星川です。

どうも、マタヒラです。

こんにちは、印藤です。

さっそくですが印藤さん!マタヒラさん!何を無茶してるんですか。やりすぎでしょ企画。

すいません(笑)

すいません(笑)

なんでこんなにやってるんですか?絶対大変でしょう。2人ともそれぞれ自分のバンドがあるじゃないですか!

えぇ、大変ですねぇ。それには色んな経緯がありまして…

ほぉ、ではその経緯を聞かせて下さい!

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バンドマン企画がはじまったきっかけ

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(会談は八王子で行われた)

新宿の各ライブハウスが代表バンドを選出して、タワーレコードにCDを置いてもらう企画があるんですが星川さん、ご存知ですか?

あ~、聞いたことあります。たしか「地下室からのーーー」ってヤツですよね。

そう、それです。以前、その企画にesolaを選んでもらって。
で、ぼくとしてはライブハウス、タワーレコードさんだけに頑張ってもらうのではなく、バンドマン自らもこの企画の中で行動して盛り上げるべきだろうと思ったんです。

ふむふむ。

で、ぼくが考えたのはそれぞれのハコの代表バンドの曲が1曲づつ収録されたオムニバスCDを一緒にタワレコで並べてもらうこと。で、それは無料なんです。

なるほど、なるほど。無料で聞いてもらって気に入ったバンドのさらにお買い求めいただければと。

そう。ところが…。




ライブハウスの世界には壁があった!?

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(今回は八王子、吉祥寺の2DAYSだった)

実際に動き出してみると、すごく壁を感じたんです。

「壁」というのは?

今のようにライブハウス同士の横のつながりはなかったんです。ハコの代表としてバンドが出ているわけですから、ハコにも許可をとりますよね?すると「ウチではそういうのやってないから」と断れることが結構あったんですよね。

ふむふむ、前例がないことだったんですね。

しかし、それはとても窮屈だな、と。

そうですねぇ。バンド側が動いた時に周りがその"熱"を低下させないことは大事だと思います。

壁を作っていた自分もいた

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(昔のことを思うとつい酒が進む…)

ですが、思い返してみるとまず自分がライブハウスに壁を作っていた時代もあったなぁと思って。

と、言うと?

esolaは新宿アンチノックをメインで出演させてもらう前に、下北沢のとあるライブハウスで頑張っていたことがあって。そのハコには、ぼくはすごく憧れをもっていたんですよ。

あ~、わかります。ぼくも下北沢屋根裏に憧れてました。

ハコにはやっぱり"色"があるじゃないですか?やっぱり近いジャンルのバンドが多く出演するようになるんですよね。いわゆる「シーン」というヤツが形成されます。

うんうん。

でも、なぜかesolaから自然に出てくる音楽がそのシーンにはハマらなくて。本当はもっと対バンの人に話しかけたり、企画をやってシーンに貢献したかった。

それができなかったはなぜですか?

一つは若かったから、嫉妬だったと思うんです。あとはやっぱり音楽性。たまたま新宿アンチノックに出演したら、音楽をすごく評価してもらえました。そこから気をよくして色んな人たちと絡むようになったんです(笑)

なるほど(笑)。つまりはマタヒラさんがまず自分の内側の壁をぶち破った。しかし外の世界に広がろうとした時、そこにはまた新たな壁にぶち当たったというわけですね?

そういうことになりますね。




壁を取っ払う=SAD COMMUNICATION

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(SAD COMMUNICATIONに出演したLANPAZIEのギター柴田Jr)

で、「壁をとっぱらう」が逆にモチベーションにもなってSAD COMMUNICATIONを頑張る理由になりました。その時は「地下室からのーーー」に乗っかるカタチで2回ほどイベントを行いオムニバスCDも出しました。

そこからはいったん休止ですか?

星川さんのおっしゃるとおり、大変だったんです(笑)esolaはesolaで軸にしている活動がありましたから、どうしてもリソースが足りずおろそかになってしまう。

ですよねぇ。ぼくも企画連発の時期から普通のブッキングメインに切り替えたとき「こんなに楽だっけ…?」と思った記憶があります。

今考えても、いったん休止したのは良い決断だったと思います。

で、その後復活したのはなぜですか?

そこでぼくが登場です。

うお!印藤さん!

以前、星川さんに取材してもらった通り、ぼくは独立してバンドマンに関わっています。ぼくもマタヒラくんと同じように「壁」という存在には気になっていました。その意思を受け継ぐ形で「SAD COMMUNICATION」という名前を使わせてくれないかと、独立した時に持ち掛けたんです。

「全然いいよ。」って言いました(笑)

なるほど~。印藤さんも前回の取材でまさに壁のようなものを取っ払うために独立していますもんね。合点がいきました。

前回の取材⇒もっとバンドマンの力になりたいからライブハウスを辞めた!?印藤勢の「バンド無料相談」がスゴイ

去年から、ぼくがブッキング業務全般をマタヒラくんがデザインや写真撮影などをする形で続いていっています。

それは良い体制ですね。では、「壁をとっぱらう」ために具体的にSAD COMMUNICATIONではどんな取り組みをされているんですか?

まずは音楽の壁をつくらないこと。心から音楽を楽しんでいる人をブッキングしています。結果的にかなりノンジャンルなイベントになっていますね。マタヒラ君が下北沢で感じた切なさを軽減するためですね(笑)

(笑)

ぼくも今回、第9回、10回と見させてもらいましたが、たしかにノンジャンルです。ロックの枠組みを飛び越えて、バンドじゃない人もたくさんいましたね(笑)

あとはSAD COMMUNICATIONは「印藤勢 presents」とか「esola presetns」といった冠は決して掲げないようにしています。

ほぉ、それは何故ですか?

それはバンドマンが手を挙げやすい状態を作るためですね。

ぼくの経験から絶対に言えることですが、バンド活動やライブハウスって能動的に関わっていった方が楽しいんです。例えば売れそうなバンド仲間がいたらみんなで盛り立てた方が絶対に楽しいし、自分だって得をする。まぁ、若いうちは嫉妬するかもしれませんが(笑)

なるほど。確かに「印藤勢」というブランドを掲げることでお客様気分のバンドマンが増えてしまうことがあるかもしれませんね。

そう。ゲストじゃなく、「共犯者」として一緒に楽しんでほしい。その場を楽しくするアイディアがあったらすぐに手を挙げて実行、実現してほしいんです。ブランド力がつくとしたら「SAD COMMUNICATION」という名前に対して。その名前が独り歩きするのが理想です。

なるほど、なるほど。そもそもライブハウスのスタッフだった印藤さんと経験豊富なバンドマンであるマタヒラさんという2人が協力し、真ん中に「壁を取っ払う」という熱いモチベーションがあることで、年に10回もの高頻度で企画が打てるわけですね。よくわかりました!

おかげさまでライブハウスから声をかけてもらうことも増えましたし、星川さんに見ていただいた2DAYSは、なんと14アーティスト中8組レコ発でした。ぼくら以外にもSAD COMMUNICATIONで遊んでくれる仲間が少しづつ増えていると感じますね。

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(レコ発のみんなのCD)

14中8組!?それは凄いですね。

あとはフードも美味しかったよね。1日目は炊き込みご飯。2日目はカレー(笑)。

カレーは頂いたのですが、美味しかったですね!(笑)作ってくれたのも、前日の出演者の方だったりしましたよね?

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(ガチすぎる秋の味覚)

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(旨すぎたカレー)

そう!料理上手のバンドマンを味方につけました!w

レコ発にしても、フードにしても「壁をとっぱらってバンドマンに能動的に関わってもらう」ということに成功している感じがしますねぇ。なんか応援したくなってきましたよ!

ありがとうございます!

ありがとうございます!じゃ、星川さんもなんかやりましょう。

え?あ~、しまった~(笑)




「ライブハウスの楽しみ方」を再定義する

はじめは説教してやろうと思ったんですが、2人がとても楽しそうだったので無理でした(笑)

話を聞いて思ったのは、2人は「ライブハウスの楽しみ方」を再定義しようとしているんだなってことです。

ぼくを含め3人とも30代なんですよ。

若かりし頃の大きな夢を描くのが難しい年齢に入ってきたのはまぎれもない現実だと思います。

しかし、ぼくたちはロックバンドが好きだ。

ライブハウスが好きだ。

そこで、今のぼくらなりにライブハウスを楽しむ方法を探しています。

その実験と努力が「SAD COMMUNICATION」の中には詰まっているんですね。

そして、ぼくはこの風景を見たときに一定レベルで成功しているのではないかなぁと思いました。

週の真ん中水曜日。

ド平日にも関わらずSAD COMMUNICATIONの打ち上げは盛り上がりました。

もちろん強制じゃないですよ(笑)

「バンドマンが能動的に関わる」その姿の一端が見れました。




バ、バンドやりてぇ!

ぼくは今、残念ながらバンドマン活動を休止中なんですが、SAD COMMUNICATIONを見て、「あ~、やっぱりバンドやりたいな~」と心から思いました。

好きだから続けたい、続けなきゃしょうがないロックバンド。

だったらその道をトコトン楽しむまで、ですね!

SAD COMMUNICATIONはまだまだ仲間を募集しています。

出演者として、お客さんとして、はたまたフードとして!?

どんなカタチでも大丈夫。

仲間になってみたいと思ったら、ぜひマタヒラさんのライブレポも読んでみて下さい。

当日の様子がわかります!

⇒esola事。:【レポ事。】2017.10.18-19【SAD COMMUNICATION】DAY-9,10

来年のファイナルは初期SAD COMMUNICATIONの流れを引き継いで、音源のリリースも控えているそうな!

引き続き取材して、彼らの実態調査・ノウハウ研究を続けていきますよ!