ロックバンドやミュージシャンで自作のCDを作っている方は多いと思いますが、実はそのCDを個人でもAmazonで流通できることをご存知でしょうか?
やり方は4つあります。
- Amazon e託を使う
- Amazonマーケットプレイスを使う
- ディストリビューターを使う
- AmazonDODを使う
それぞれ特徴があり、利用料金に違いがありますので整理してみましょう。
Amazonで自分のCDを売りたい人はチェックしておいてください。
①Amazon e託を使う
「Amazon e託販売サービス」は自分が販売権を持っているCD(つまり自主制作CD)なら、Amazonに流通、販売を委託できるサービスです。
(その他にも書籍、DVDなども流通できます)
ミュージシャンがやることは商品の登録と、Amazonへの納品のみ。
商品の発送、梱包、決済から配送後の返品対応やカスタマーサービスまで、納品後はすべてAmazonが24時間体制で実施します。
Amazon e託を使うには年会費9,000円(税抜)を支払う必要があります。
また売れるごとに売価からAmazonの取り分が発生します。
CDの場合、ミュージシャンが受け取れることができるのは売価の60%です。
ちなみにその他の商品のかけ率は以下のようになっています。
またAmazon e託を使うには商品にJANコードが必要です。
JANコードは自分で取得しておく必要があります。
②Amazonマーケットプレイスを使う
Amazonのサービスでもうひとつ「Amazonマーケットプレイス」を使う手段もあります。
こちらは販売者が商品を直接、購入者に発送します。
Amazonは商品の発注と清算を代行してくれます。
Amazonマーケットプレイスには大口契約と小口契約の2種類がありますが、オリジナル商品を登録できるのは大口契約のみになります。
大口契約をするには月間登録料4900円かかります。
販売手数料はカテゴリー・ミュージックの場合は15%。(つまりミュージシャンが受け取れるのは売価の75%)
そしてカテゴリー成約料という手数料も一点ごとに140円かかります。
別途、フルフィルメント by Amazonというサービスを使うことで発送もAmazonに代行してもらうことができます。
利用すると在庫保管手数料と配送代行手数料がかかります。
またこちらも自分でJANコードを取得するか、Amazonブランド登録する必要があります。
③ディストリビューターを使う
最後にCDの卸問屋であるディストリビューターに流通をお願いする方法があります。
ぼくが流通をお願いした経験があるのが「Ultra Vybe」という会社です。
Ultra Vybeはインディーズ流通を専門に扱っている老舗で、もちろん大手CDショップや大手配信サイトなどにも流通させることができます。
商品が売れた際のかけ率は50%です。
もちろんAmazonで売れた場合も同様です。
その他のランニングコストはありませんでした。
またJANコードの取得を代行してくれるサービスもあり、ミュージシャンへの負担はかなり少ないです。
⇒ULTRA-VYBE, INC. | インディーズCD流通 レコード制作会社
④AmazonDODを使う
とりわけユニークなのが「AmazonDOD」というサービスです。
これはジャケット画像データと音源データをTUNECORE JAPAN経由で納品することで使えます。
AmazonでCDが発売され、注文があるごとにCD-Rとパッケージを作成、発送してくれうというサービスです。
収益はDOD収益の85%がアーティストに還元されるらしいです。
利用はTUNCORE JAPANからデジタル配信している音源のみになりますが、実質的なランニングコストがなく、注文・発送の手間がないのが魅力です。
⇒Amazonで誰でも自主制作のCDを受注生産で販売できるようになります
※2021年3月29日追記 Tuncore JapanのDODサービスが終了しました。こちらの会社からDODを利用できます→ダブルコネクト
結局どれが良い?利益をシミレーション
結局、どれを使うとミュージシャンは利益を確保できるのでしょうか?
1000円のCDが月に50枚売れたと想定して計算してみます。
①Amazon e託の場合
1000円(売価)×0.6(かけ率)×50枚(販売数)=30000円
30000円ー(9000円(年間契約料)÷12カ月)=29250円
実際には年間契約料は一括で払っておくわけですが、月間に直すと利益はこのようになります。
②Amazonマーケットプレイスの場合
1000円(売価)×0.75(かけ率)×50枚(販売数)=37500円
37500円-(140(カテゴリー成約料)×50+4900(月間契約料))=25600円
③Ultra Vybe(ディストリュビューター)の場合
1000円(売価)×0.5(かけ率)×50枚(販売数)=25000円
その他のランニングコストはなし。
④Amazon DODの場合
1000円(売価)×0.6(DOD収益)×50枚(販売数)=30000円
30000円-(5000円(デジタル配信料)÷12)=29560円
※DOD収益については仮定
個人レベルでの販売はAmazon e託が便利
その他、ミュージシャンからAmazonや購入者、ディストリュビューターへCDを納品する際の送料がかかります。
納品に関しては商品の売れ方によりケースバイケースですが、Amazonマーケットプレイスは売れるごとにミュージシャンが自分で販売者に発送するので高くつくことが想像されます。
もちろん手間もかかりますね。
総合的に見て月間販売数が50枚程度でしたら、Amazon e託を使うのが最も良いと思います。
高額の商品を大量に売る場合はAmazonマーケットプレイスの利益は増大しますが、そもそも個人で大量に発送するのはムリですし、フルフィルメント by Amazonを使うと維持費もかさみます。
Amazon DODも利益上げやすそうですが、ジャケットにこだわれずプレスCDではなくCD-Rになってしまうというデメリットもあります。
一番手間が少なく、利益も上げやすいですがそこは個人のこだわりによるでしょう。
Amazonだけに流通させたいのなら、わざわざCDショップの全国流通に対応したディストリュビューターに頼む必要もないでしょう。
(っというかディストリュビューターに「Amazonだけに流通して!」とお願いするのは無理だと思う)
やはりAmazon e託が現実的な選択肢となりそうです。
AmazonでCDを販売することのメリット
実は個人レベルでCDを通販で売りたい場合、Amazon以外にもBASEなどを使って自分のウェブショップを立ち上げれば可能です。
BASEの場合で言うと、ランニングコストや手数料は限りなく0に近いので、売価のほとんどを利益としてミュージシャンは手にすることができます。
販売点数が少なければ、そちらの方が利益は出るでしょう。
関連記事【手数料激安!】ミューシャンはBASEで音楽を売ろう!
しかしAmazonで販売するメリットも、もちろんあります。
以下の点があげられます。
ユーザーの利便性、安心感
まずユーザーにとってAmazonはとっても便利ですよね。
ポイントなどの割引サービス、決済や発送のスムーズさ。
ミュージシャンのみなさんも、普段Amazonを使うでしょうからご存知だと思います。
通販としては自社のウェブショップでは到底なしえないようなサービスを利用できます。
そのためユーザーからしてみれば安心感をもって買えますし、自社ウェブショップではおっくうな購入手続きも「Amazonならば」とサクッと購入してくれるかもしれません。
発送の手間の軽減
自社のウェブショップの場合、注文があるたびに自分で購入者に発送しなければいけません。
Amazon e託ならば売り上げに応じて、Amazonに何枚かを一括で納品するのみです。
付帯業務の軽減につながります。
Amazon DODならばデータを納品するだけで後は自動です。
宣伝効果
大きなプラットフォームに露出することでわずかですが宣伝効果も見込めます。
「これを買っている人はこれも…」の欄に自分のCDが露出されるかもしれません。
またAmazonは全商品、アフィリエイト(Amazonアソシエイト)を利用できますから、音楽好きのブロガーの方などから紹介されやすくなるでしょう。
JANコードを取得するには?
Amazon e託販売サービスを利用するにはCDにJANコードが必要です。
ご自身で取得するにはこちらのページをご覧ください。
⇒GS1事業者コードの登録申請方法 | 一般財団法人流通システム開発センター
以上が「Amazonで自分の音楽CDを委託販売する方法」になります。
Amazonは言わずもがな強力なプラットフォームですから、CDの流通をお考えの方はぜひ検討してみて下さい。
合わせて読みたい音楽で稼ぐ9つの方法まとめ。アマチュアからプロまで