ネットの中で「ライブ配信+投げ銭」というプラットフォームがどんどん出てきています。

関連記事:ライブ配信×投げ銭の時代、売れないアイドルもバンドマンもこのビッグウェーブに乗るしかない!?

 

ミュージシャンやアーティスト、クリエイターのマネタイズとして期待されていますよね。

 

が!

 

最近、勉強したところによると「投げ銭」だって完璧なマネタイズ手法じゃないことがわかってきました!

投げ銭にはいったいどんな弱点があるのでしょうか?

 

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投げ銭は「毎回、気持ちが"清算"されてしまう」

バン活挿絵ショック

 

西国分寺クルミドコーヒーの店主、影山知明さんの著書『ゆっくり、いそげ 』の中に興味深い話がありました。

クルミドコーヒーにて音楽コンサートを開催したそうです。

 

清算方式は「投げ銭」

 

一応は1500円という目安を伝え、投げ銭をつのったところ、ほとんどの方が1500円以上払ってくださったそうです。

その時点では成功だと思っていた影山さん。

 

しかし、半年ほど定期的に継続して気づいたのはお客さんが増えなかったという事実でした。

 

その時、気付いたのは投げ銭によってお客さんの気持ちが"清算"されているということ。

いいプログラムや作品を提供できているときには通常、お客さんからとても前向きな反応があり、それが提供者サイドの気持ちを高め、それがまたいいプログラムにつながっていくというある種の好循環がうまれていくものなに、どういうわけかそういう手応えもない。

そこで気づいたのだ。

「ああ、毎回毎回"清算"されてしまっているのだ」と。

例えば「定価」1500円のコンサートでいい時間を過ごした後、そこに金額以上の価値をお客さんが感じていれば、それは帰り道の余韻につながり、先ほどの言葉でいえば前向きな「負債感」となって、次回の参加動機や口コミなどへとつながっていくこともある。

ただ毎回そこで、プラス500円(人によってはそれ以上)を支払ってしまうとすれば、そうした気持ちは都度、清算される

引用元:ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

これはクリエイターとして活動している人ならば、もしかしたら直感的に理解できるかもしれません。

ぼくらは価値と信頼を作品をとおして、何かと交換し続けています。

 

その「何か」を全部お金に設定するのが「投げ銭」というシステムだと。

整理すると、「投げ銭」と「定価」ではそれぞれ以下のような特徴があると言えます。

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投げ銭は払う方に心理的コストがかかる

また、別の意味でこちらのブログにとても興味深い記述がありました。

 

「音楽に値付けする」という行為についての心理的負担について。

あなたの演奏が素晴らしかったので、私は500円払いたいと思います。あるいは5000円払いたいと思います。どちらであっても、本質的にそれは私にとって傲慢で尊大な行為であり、心理的負担が大きいものです。金額の多寡が問題なのではなく、他者の音楽表現を乱暴に数値化・定量化する行為が、私にとっては想像し難く、できれば避けて通りたい厄介な行為なのです。

(中略)

1リスナーの意見としては、そのようにあらかじめチャージが決まっているライブのほうが心理的負担は少なく、本来は貨幣との交換などできようもないプライスレスな体験に対し、貨幣経済という不思議な枠組みを通じて「対価」を払うことができます。良し悪しは別として、今日自分が払ったお金が適正だったのかどうかを「考えなくて済む」のです。

引用元:投げ銭システムについての雑感

投げ銭となると、なまじまじめな人ほど気の毒になりますね(笑)

  • メンバー多いから、高めの方が良いかな?
  • このぐらいのレベルの人って相場はどのくらい?
  • この値段じゃ、ミュージシャン生活していけないかな…。

などなど、お客さんはいろんな面で考えることが求めれてしまうかもしれない。

 

たしかに、プライシング(値付け)ってめちゃくちゃ難しいですよね?

いちクリエイターとして何かを売ったことがあること人は「う~ん、自分の作品っていったいいくらで売るのが適切なんだろ?」と悩んだことがあると思います。

 

投げ銭はその「プライシングの悩み」をお客さんに丸投げするという一面があります。

そしてそれが足を遠ざける要因にもなり得るという話でした。

 

投げ銭の弱点は克服できる?

 

以上のように投げ銭には、

  • お客さんの気持ちを全部「お金」に清算され、口コミやリピートが起こりずらい
  • お客さん自身に値付けの心理的負担ある

という特徴(弱点)がありました。

 

「ライブ配信×投げ銭」が盛り上がる今だからこそ、覚えておくべきですよね。

これらの弱点を把握したうえで、投げ銭を使うか否かは「お金」じゃなく、目に見えない「価値」「信頼」「(良い)負債感」に目を向けることが必要です。

 

例えば、「今はどうしても現金が欲しい!」というタイミングは活動していれば必ずありますよね?

その時は「投げ銭」によって、今まで積み重ねてきた「価値」や「信頼」をお金に変えさせて貰う。

 

逆に、現金に余裕があるタイミングだったら積極的にお客さんに「良い負債感」をもってもらった方が長期的に活動していけるでしょう。

また「値付けの心理的負担」についても考慮する必要があります。

 

例えば、投げ銭を「¥0~∞」にするのではなく、「¥500×∞」にするのではどうでしょうか?

ライブ配信×投げ銭の分野では日本でさきがけのSOHWROOMは投げ銭とっても、ゴールド(円)を定価のアイテムに変えて、配信者に贈る仕組みです。

 

少なくとも無限の選択肢からしぼられるという意味では、心理的負担は軽減するのではないでしょうか?

(もっとも、リアルのライブで導入するのは難しそうですが…)

SOHWROOMだけでなく、クラウドファンディングなどクリエイターの支援プラットフォームはどんどん充実していってます。

逆にいうとこのような「お金の仕組みや役割」について勉強する必要も出てきました。

 

参考になったらうれしいです!

 

なお投げ銭ができるプラットフォームはこちらにまとめてあります。

関連記事投げ銭ができるウェブサービス・アプリ12選