2020年6月29日に刊行されたヤマザキOKコンピュータさんの『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』がおもしろかったのでご紹介します。
著者のヤマザキOKコンピュータ(通称ヤマコン)さんは生粋のパンクロッカー。
いわゆるパンクと投資は対極なものに思えますが、ヤマコンさんの中では一本筋が通っていると。
得てしてパンクやサブカルチャーに心酔する人ほど投資とかお金の世界の話が嫌いですよね?
そんな偏見を持っている人にこそぜひ読んでてみて欲しい内容になっています。
バン活!を普段読んでくれている方なら、きっと楽しく読めるのではないしょうか!?
どうして現代は「くそつまらない」の?
どこを見渡しても同じような建物。
個性のない商品。
中毒性と背徳感だけがもてはやされる食品…。
ヤマコンさんの目からこの世界はひどくつまらないものに見えています。
この視点、価値観はぼくも共感するところです。
現状に対する反発と反抗。
まずもってその態度はパンクの原点に思えます。
この世界を少しでもおもしろくするために、考えなければいけないのが「お金の力」です。
ぼくたちが生まれれる前からずっと前から、社会はお金で回っていますよね。
本書の前段では、「なぜお金前提の社会になったのか?」をわかりやすくユーモアのある表現で説明しています。
結論として「お金前提の社会」は変えられないものとして、「だったら社会に背を向け山の中で仙人暮らしをしよう!」…という世捨て人を推奨するわけではなく、そのお金の流れを変えることで社会を良くすることができるのではないか?と考えるのがヤマコン流パンク。
お金の流れを変える方法のひとつが「投資」というわけです。
未来を変えていくために投資が使える
わたしたちがほとんど無意識にやっている「貯金」また「納税」(納税は義務ですが)
そこに納められたお金はいったい何に使われているでしょう?
実は決して平和的、未来的ではないことに使われていたりするんですね。
本書の中断ではその例も紹介されています。
一方、「投資」は自分が意識的に投資先を決めることができます。
企業は投資を受けるためにさまざまな情報を公開する義務があります。
環境に負荷はないか?格差を助長しないか?従業員が虐げられていないか?…etc
自分が気に入った良い企業にだけ投資して、その企業を支えることができる。
結果的に投資先の企業活動がどんんどん世に広がっていけば、未来はおもしろくなるはずです。
自立すること、それがパンク
もちろん、投資は企業や社会にメリットがあるだけでなく、投資する自分にもメリットがあります。
ひとつは「リスク分散」
銀行が破産した時、実は貯金って1,000万円しか保証されないって知ってましたか?
またハイパーインフレが起きれば、現金の価値は目減りします。
そういったリスクについても本書ではわかりやすく説明されていますよ。
後半では実際に投資についての記述がありますが、特にぼくが気に入ったのが「第7章 投資を始める前に考えること」の「まずは生活コストの見直しから」の項。
ここはすごく共感した部分です。
人はお金の稼ぎ方より、使い方でその人間性がみえるものだとぼくは思います。
いわばお金の「使用力」が社会を良くするし、また自分の人生を安定させます。
投資先を選ぶことも「使用力」を鍛える最たる例ですが、普段自分が使っている消費を見直すことは、「使用力」の基礎です。
家計を見なすことなく、良い投資はできないのではないかと思います。
もっというと家計を知らずに投資をはじめると、どうしてもギャンブル思考になってしまうと思いますね。
そうなると社会をおもしろくする前に、自分が破産してしまいます(笑)
ヤマコンさんはパンクの定義として挙げているのが、
Do it Yourself
Anyone can do it
直訳すると「自分でやる」「誰でもできる」ということ。
つまり「自立する」ということです。
お金の使い方をさまざま考え、実際に色んな所にお金を使ってみることは、まさに自立することと同義。
だから投資はパンクたり得るわけですね。
余談ですが、エッセイストの紫原明子さんの著書『家族無計画』の中で小児科医の熊谷晋一郎さんのこんな言葉が紹介されています。
自立とは依存先を増やすこと
『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』を読んでふっとこの言葉が浮かびました。
投資ではリスク分散することの重要性がよく説かれます。
さまざまな場所に自分のエネルギーが具現化されたものであるお金を置いておくことは、まさに依存先を増やして自立することであり、ズバリパンクなんだろうと思います。
この本の次におすすめしたい本
もしこの本を読んで投資に興味を持ったら『投資家がお金より大事にしていること』という本を次に読んでみることをおすすめします。
これは投資信託を販売してる会社を経営者が書いた本で、これまた投資の偏見を解くのに役立つと思います。
また『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』の後半ではヤマコンさんのライフスタイルも紹介されているのですが、それもぼくは強く共感した部分でした。
生活コストの見直しをしっかりやって、大切なものや人、楽しいことにしっかりお金と時間を費やしていく。
そんな志向は自分とすごく近いなと思います。
同じようにヤマコンさんのライフスタイルに興味を持った人は『20代で隠居』とかおすすめです。
自分の意志で丁寧に生活を選び取っていく態度は、投資家とは似ても似つかない隠居でありながら、実は共通する部分が多いように思います。
ぼくがやっている投資
実はぼく自身も数年前から投資をはじめました!
楽天証券で投資信託の「ひふみプラス」を気づいた時に買う程度ですが(笑)
最初は楽天カードで貯まった楽天ポイントを使ったポイント投資からはじめました。
いつのまにか貯まったポイントで投資できるので、はじめて投資をする人にはおすすめですよ。
『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』を読んで、久々に自分も投資に興味がわいてきたので、NISAやiDeCoもやっていこうかなぁと思っています。
以上、『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』の紹介でした!
ちなみにこの本はタバブックスのシリーズ3/4の一冊。
コミックスぐらいのサイズで、内容もとても読みやすいです。
普段、活字を読まない人も読みやすいと思うので、ぜひ読んでみて下さいね。